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にしかんローカリストカレッジ「第二回/にしかん取材体験 vol.1」レポート

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「地域を俯瞰した魅力の発見・編集・発信ができる実践者(ローカリスト)の養成」を目的とした育成事業「にしかんローカリストカレッジ」の第二回目を10月31日に開催しました!

▶︎第一回「ライティングセミナー」の様子はこちら。

今回の講師には、笹川かおりさん(元ハフポスト日本版副編集長、フリーランスエディター)、石原 藍 さん(フリーランスローカルライター)のお二人をお招きして西蒲エリアをフィールドワークする実践的セミナーを行いました。

第一回目は「伝える手法」をテーマに、受け手に"なにか"を伝える手段として「なぜ書く手段を選んだのか」、書いている時に気をつけるポイントなどを学びました。

第二回目となる今回は、1日かけて巡るにしかんフィールドワークを用意!
①・・にしかんエリアをフィールドワークしながら、地域マテリアルを捉える目線を身につける
②・・実際ににしかんエリアの店舗へ行き、プロのお二人からお店で販売している地域商品について取材していただきます。ローカリスト達は目の前で進められるインタビューの様子や空気感など、その技術や視点を実践の場で学ぶ
③・・自分で取材・編集・発信していく地域の特産品を道の駅の商品から選ぶ

という流れです。

ゴール設定は2つ
①地域を取材し、書くとはどのようなことなのか。魅力的に感じたところをどのように切り取るのか自分の言葉で語れるようになる
②第一回での学びを意識し、講師陣の事前リサーチ・取材の目的・インタビューを進める様子等を現場で学ぶ

さぁ、それではフィールドワークに出発です!


にしかんエリアの農と食のインフォメーション施設〜そら野テラス〜

にしかんエリアの農産物を中心に扱う直売所と農家カフェが併設された、「そら野テラス」さん。

もともとこの地で代々農業を営まれてきた農家(いちごと米農家)であり、周辺の景観保存にとても力を入れて取り組まれています。

そら野テラスさんは、農業のイメージを変えよう、農家だからこそ取り組める事を探求しようと常に実践されています。それは、農家として今後もにしかんの土地で農業をしていくためには、土壌や環境、景観を守っていくことが必要だと考えたそうです。

100年後もこの土地で、この土地の宝である「景観」を損なうことなく、農業を続けること。そして「変わってはならないもの」も同じくらい守っていく事。』をポリシーとして語られる姿が印象的でした。

建物の2階からは、そら野テラスさんが時間をかけ大切に守ってきたにしかんの健やかな景色を見る事ができました。

目に見える範囲には電柱が1本も無い。それは景観を守ってきた人たちがいたからこそ

未来のローカリストたち

時代に合わせた挑戦~お菓子処小冨士屋~

西蒲区岩室温泉にあるお菓子処「小冨士屋」さんは、岩室温泉の銘菓である「岩室温泉せんべい」を最初に作った店でもあり、この地で昔から地域の方に愛されているお菓子屋さんです。

 現在は、七代目となる息子さんも工房に立ち、各世代で代々名物となる菓子作りを続けています。

時代毎の空気感や、その時目指した菓子像などを、菓子に込めて形にしていく労力は素人では想像もつきませんが(何十という試作を繰り返しつくられるそう)、それでもこの仕事が好きだから離れられないとお話しする姿に職人の意地のようなものを感じました。

「お客さんにお菓子を食べてもらえることがとっても嬉しいんです」と話す五代目のチヨさん

世の中は、次々と新しいジャンルのスイーツが生まれ、流行りのお菓子が発信されます。
その中で、売り上げを出し続け、地域内の菓子屋として確固たるものを守るには信頼と美味しさが根底にあるのだと思います。

そして自分たちに合った、新しい手法や変化の方法を続けていることも、長く守る秘訣の一つではないでしょうか。

笹川さんから取材を受ける、六代目の真由美さんと七代目の息子さん

 

弥彦村初のローカルビール醸造所〜弥彦ブリューイング〜

越後国一之宮である「彌彦神社」の門前にある酒屋「弥生商店」が展開するマイクロブルワリーの「弥彦ブリューイング」さん。

「弥生商店」はこの弥彦の地で50年以上の歴史を誇る老舗酒販店です。

「弥彦ブリューイング」さんは、新潟県内の特産品を副原料とした様々なフレーバーのクラフトビールを作られています。

その中でも有名なのが、伊彌彦枝豆エール。
こちらは、弥彦村産の「伊彌彦米」と弥彦産ブランド枝豆「弥彦娘」を副原料に使用した、余韻に枝豆の風味を感じるクラフトビール(発泡酒)で新潟県のふるさと納税返礼品にもなっています。

他にも西蒲産の柚子や弥彦産の食用菊を使用したビール、季節限定「ふきのとうエール」なんてのもありました!

他に類を見ないオリジナリティあふれるビールが楽しめます。

また、弥彦村は観光地「弥彦温泉」としての顔を持ち、弥彦温泉に宿泊されている方が、宿の食事が始まる前やチェックアウトした後の散策の途中で立ち寄って気軽にクラフトビールを楽しめる場所にもなっています。開店時間も11時・19時閉店としたのも、そういった意図があるから。

地域の特産品をビールに活かしたオリジナリティあるアプローチや、観光客がうまく回遊できるような地域内連携も感じ取れるお店でした。

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そして、最後のワークとして今日のフィールドワークで感じたことへの振り返りを行います。

フィードバックしながら言語化するこの時間はとても重要で、彼ら「外部」の人間から見た目線だからこそ気づいた部分を互いに共有し合うことで、新たな目線を得る機会でもあります。

振り返り後は、にしかんエリアの農産物や加工品を販売している「いわむろや」で、自分たちが地域と共にPR発信したい地域商品を選びました。

いわむろやで扱っている地域商品は、ざっと100種類以上! 
今回は、2人1グループで1商品を取り上げていきます。パートナーと相談しながら、何を切り取るのか他商品との違いは何か、選考理由も2人ですり合わせしながら進めていくにはコミュニケーションがカギ。

パッケージや陳列場所の目立ち方ではなく商品一つ一つにスポットを当て丁寧に選考しています。

商品のどこをピックアップするかによって、読み手への印象も変わるので悩むところ

今後は、ローカリスト自身がリサーチを行い、生産者へのアポ・取材・撮影・編集・校正・発信・波及効果の測定と段階を踏んでいきます。

彼等がどんな商品を選んだのか、次回のレポートでお知らせしたいと思います!